2025年10月29日水曜日

ガン玉、ナス型、バレットシンカー。釣り初心者を惑わす錘の重さの話

簡単なようでわかりづらい、オモリの世界のお約束

釣りを始めたばかりのあなた、オモリの世界が奥深いことに気が付いてますか?

小さなガン玉ひとつでも、使い方や種類で釣果や扱いやすさが大きく変わります。
今日はそんな、川の小物釣りで良く使う、オモリの重さについて、やさしく紹介したいと思います。


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川面の光が揺れていた。指先から転がった、文字通り鉛色のガン玉が水に沈み、泡のように水底へと消えていく。石の隙間に入ったオモリは、もう捜索不能だ。1袋に何十粒も入っているからまだ良いが、こんなことを繰り返していて良いはずがない。
自分の過ちを反省し、川に向かって深々と頭を下げると、空を裂くように羽音が響いた。アオサギが舞い降り、羽をたたむと、そこには釣り姉が立っていた。



そのオモリ、何グラム?


なくしたオモリの行方

釣り姉:「よぉ、青年! お辞儀なんてしてどうしたんだい?」

鯉太郎:「釣り姉!!」

釣り姉:「おぉ? どうした、そんな泣きそうな顔して」

鯉太郎:「またガン玉落としちゃったよぉ……」

釣り姉:「なはは! 慣れないうちはよくあるさ」

鯉太郎:「でも、環境によくないでしょう?」

釣り姉:そうだな。魚や鳥が飲み込むと鉛中毒になる。だから避けてほしいところなんだがな

鯉太郎:「でも、こんな細かいの、どうやったら……」

釣り姉:「ガン玉専用のプライヤーを使うべきだね」

鯉太郎:「分かってるけど、あれ高いんだよ。それに……」

釣り姉:「なんだい?」

鯉太郎:「ナス型オモリみたいに金具付きなら落ちないと思うんだ。だから、ガン玉やめてナス型オモリにしよと思うんだ」

釣り姉:「なるほど。言いたいことは分かるよ」

鯉太郎:「でしょ?」

釣り姉:「じゃあ、せっかくだから今日はオモリの話をしていこうか」

・バレットシンカーとナス型オモリ。同じサイズに見えるが……


ガン玉の重さは計算できない

釣り姉:「まずはガン玉オモリの号数と重さについてだ」

鯉太郎:「号数と重さ? なんとなく知ってるけど……」

釣り姉:「鯉太郎、いま何号のガン玉を使ってる?」

鯉太郎:「えーっと、6号を2つ。だから0.12g×2で、0.24gってとこだね」

釣り姉:「ところで、その0.24gって何号に相当するか分かるかい?」

鯉太郎:「え? うーん……パッケージの裏に書いてあるんだけど、今は分からないなぁ」

釣り姉:「なら、どうしてすぐに数字が出てこないんだい?」

鯉太郎:だって、号数と重さの関係がよく分からないんだもん

釣り姉:「そうだよな。ここでガン玉の号数と重さの関係を思い出してみよう」

    号数     重さ
8号 0.7g
7号 0.9g
6号 0.12g
5号 0.16g
4号 0.20g
3号 0.25g
2号 0.35g
1号 0.45g
B 0.55g
2B 0.75g

※メーカーにより若干変わります。


釣り姉:「例えば3号で0.25g、Bで0.55g、2Bで0.75gあたりだ」

鯉太郎:「うわぁ……やっぱり全然法則性がないね」

釣り姉:「そう、ガン玉は規格が特殊なんだ。号数が上がれば軽くなる、くらいの理解でいい

鯉太郎:「この表、何度も見返しちゃうんだけど、例えば1号のガン玉を2つ合わせたら2号になるかって言ったら……ならないってことだよね?」

釣り姉:「その通り。まるで足し算が通じない世界になっている」

鯉太郎:「だからオレ、パッケージの裏の表をツールボックスに貼りつけてあるよ」

釣り姉:「ほう、それはいい工夫だね。こんな表はとても覚えられるものじゃないからね」

鯉太郎:「それで……ねぇ、釣り姉? これ、ナス型オモリの話とどう繋がるの?」

釣り姉:「まぁまぁ、焦らない焦らない。これからが本番さ」

・左から3B、B、3号、6号、8号


基本は1号3.75g

釣り姉:「じゃあ次は、ナス型オモリの重さについてだ」

鯉太郎:「お、やっとだね?」

釣り姉:「青年は使ったことあるかい?」

鯉太郎:「いや、だってこの釣りはいつもガン玉だからさ。知ってはいても、触ったことはないよ!」

釣り姉:「じゃああえて質問。ガン玉8号とナス型オモリ8号、どっちが重いと思う?

鯉太郎:「うーん、それはガン玉8号! だって0.07gだし。これより軽い物なんてないよ!

釣り姉:「アッハハ! その発想、ガン玉ばかり使っているから生まれるんだろうね」

鯉太郎:「え、違うの?」

釣り姉:「実は、釣りで使うオモリは“1号につき3.75g”なんだ」

鯉太郎:「えっ! そんなに重いの!?」

釣り姉:「そう。ナス型でも丸型でもナツメでも、1号=3.75g、それだと分かりづらいから4号で15gか8号で30gで覚えておくれ。そこから2ずつ割っていけば、1号=3.75gってなるからね。」

鯉太郎:「じゃあ、ガン玉だけ違うんだ……」

釣り姉:「そう、ガン玉はかなり特殊な規格なんだ。軽さもサイズも、まるで別物だね

鯉太郎:「じゃあさ、4号のナス型オモリを2つ合わせたら8号になるってこと?」

釣り姉:「その通り。ナス型4号=15g×2だから30g。ちょうど8号相当だ

鯉太郎:「わぁ、足し算が通じる世界もあるんだ!」

釣り姉:「アッハハ! 川の小物釣りは簡単だなんて言っておいて、実は使っている道具は癖が強い物ばかりなんだよ」

鯉太郎:「うーん、そういうふうに思ったことはないけど、改めて見返すと特殊な世界なのかもなぁ」

釣り姉:「青年がいろんな釣りをやってみれば、その異色さが分かるはずさ!」

鯉太郎:「あっ、ねぇ? ところで、もし0.1号のナス型オモリがあれば、オイカワとかウグイ釣りでも使えそうだなぁ」

釣り姉:「規格ではそういうことになるねぇ。だけど、市販されているのは0.3号=1gまでなんだ」

鯉太郎:「えぇ!? じゃあ、さっきオレが思いついた仕掛けは無理なのかぁ……」

釣り姉:「一応、ナツメや丸型なら0.2号まではあるけど、それでも0.7gくらいあるからね」

鯉太郎:「ってことは、ガン玉でいうと2Bくらい? ちょっと重いなぁ」

釣り姉:「そう。清流釣りには向かないね」

鯉太郎:「うーん、結局ガン玉に戻るってことか」

釣り姉:「適材適所ってことだね。ちょっと高いけど、ラバーコートのガン玉を試してみるといい。グリップもよく利くし、オモリも柔らかいから付けやすく外しやすい

鯉太郎:「なんか、使いやすそう!」



ルアーやるならいつは出会うオンス(oz)の世界

釣り姉:「ついでにもう一つ。オモリの単位で“oz(オンス)”ってのもあるんだ」

鯉太郎:「オンス? なんか外国っぽい」

釣り姉:「そう。アメリカやイギリスで使われる単位系で、1oz=28.35gだ」

鯉太郎:「へぇ、じゃあ1ozのオモリって8号くらいなんだね

釣り姉:「ほぼ同じくらいの重さだね。バレットシンカーやネイルシンカー、スプリットショットなどで使われているよ」

鯉太郎:「つまりルアー釣りの世界ってことだね?」

釣り姉:「そういうこと。さて、問題だ。21gのバレットシンカーは何オンスでしょう?」

鯉太郎:「えーっと、21÷28だから……0.75oz?」

釣り姉:「おしい! 正解は3/4oz。オンスは分数表記なんだよ

鯉太郎:「へぇ! 少数にしないんだ。不思議!」

釣り姉:「文化の違いってやつだね。特にアメリカ製のルアーを買うときは単位に注意するんだよ

鯉太郎:「うん、今日もまた勉強になったな」

釣り姉:「そう言ってくれると嬉しいね、青年」



まとめ

釣りをするとき、オモリは意外と奥が深い存在です。
特にガン玉は小さくて軽く、手元からポロリと落ちやすいですが、鉛でできているため魚や鳥が飲み込むなど、ちょっとの不注意でも環境への悪影響は免れません。だから、慣れないうちは専用のプライヤーを使うのがおすすめです。一方で、ナス型や丸形、ナツメ型のオモリは金具付きで安定していて、ガン玉のように落としやすい心配は少ないのが魅力です。とは言え、ガン玉のような極小サイズはないので、代用できないこともあります。

さて、オモリの重さは「号数」で表されますが、ガン玉だけは特殊で、号数と重さの法則性がほとんどありません。例えば1号のガン玉を2つ合わせても2号にはならず、数字だけでは重さをイメージしにくいのです。だから、パッケージの裏に書かれた表を手元に置いて確認するのが便利です。逆に、ナス型やナツメ型のオモリは1号あたり約3.75gで、複数を組み合わせると簡単に重さを計算でき、釣りの仕掛けを考えるときにわかりやすいのが特徴です。

さらに、海外の釣り用品ではオンス(oz)という単位も使われます。1ozは約28.35gで、バレットシンカーやネイルシンカー、スプリットショットなど、主にルアー釣りで用いられることが多いです。輸入品を購入するときは、号数とオンスの違いを確認することが大切です。少数ではなく分数で表記されることもあるので、慣れないうちは注意が必要です。

こうして比べてみると、ガン玉は扱いやすい一方で特殊な性質を持ち、ナス型やナツメ型は重さが安定して計算しやすいとわかります。釣りの種類や狙う魚に応じて使い分けることで、仕掛けの安定性や釣果に差が出るのです。初心者にはラバーコートのガン玉がおすすめです。高いですが、グリップがよく、付けやすく外しやすく、繰り返して使えます。オモリ選び一つで、釣りの楽しさがぐっと広がります。



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