身近なマイナーな釣りの高いハードル
川辺で糸を垂らしていると、ふと「このハリで本当に合っているのかな」と思うことはありませんか?
魚は同じでも、使う鈎ひとつで釣果が変わる――そんな奥深さが小物釣りの面白さです。けれど、いざ釣具店に足を運ぶと、……欲しいものが全然ない!!
川の小物釣りは、そんなことが良く起こる、身近な場所のマイナーな釣りです。
今回は、そんな「ハリ選びの小さな悩み」をわたしが遭遇した苦労をストーリー化して、わかりやすく紹介します。
端的に言えば、ネットショッピングの勧めです。時には、通販に頼ったほうが充実感が得られることもあるのです。
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| ・今日は10円玉よりはるかに小さいフックが、どこにも置いていないという話 |
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秋の陽ざしがやわらかく川面を照らしていた。風は少し冷たく、澄んだ空気のなかで竿先の影がゆらゆらと揺れている。オレは腰をおろして、仕掛け箱を開いた。いくつかのパッケージの中には無造作に鈎が転がっていて、すべてが金色に光っている。
フィンガーノットを覚えてからというもの、オレの釣りの幅は広がった気がしていた。ハリスを好きな長さで結べるし、強度の調整も自分でできる。仕掛けを一から組むたびに、釣り人として少し成長したような気がして、胸が高鳴る。
だが、問題は別のところにあった。ハリ、つまり鈎(つりばり)の種類が、思いのほか少ないのだ。
流用しようと試行錯誤して、結局ネット通販
秋田狐は釣具屋に現れる
釣り姉:「アキアキツネって知ってるかい?」
鯉太郎:「秋田にしかいない狐?」
釣り姉:「あはは、実は狐じゃなくて、ハリの名前なのさ」
鯉太郎:「ハリ? そういれば……、聞いてよ! オレ、やっとの思いでフィンガーノット覚えたんだけどさぁ!」
釣り姉:「お! すごいじゃないかい!」
鯉太郎: 「やっとの思いで、好きにハリを選べるようになったけど、今度はそれが、お店にさっぱりなくてさぁ……」
釣り姉:「あはは、そんなこともあるさ」
鯉太郎:「釣具屋行っても、金袖バリばっかり置いてるし。ちょっとがっかりだよぉ……」
釣り姉:「そうだねぇ、ハリス付きのハリスを切って、お気に入りのラインに結ぶって方法もあるよ?」
鯉太郎:「それがさぁ、ハリス付きも、金袖、袖、ハエスレ……この三択」
釣り姉:「うーん、困ったねぇ」
鯉太郎:「自分で結べるようになったのに、選ぶ楽しみがないなんてなぁ」
釣り姉:「それだけ川釣り向けの需要が少ないんだろうね」
鯉太郎:「いやでもさ、いくらなんでも選択肢なさすぎじゃない?」
釣り姉:「そう思うのも当然だよね? 現実は厳しいもんさ」
鯉太郎:「せっかく覚えたのになぁ……」
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| ・左から山女魚5号、ハエスレ3号、渓流ゼロプロ1.5号、フライフック#18 |
選べない現実
鯉太郎:「どうして、こんなことなってるんだろう?」」
釣り姉:「日本は島国だろ? 車で小一時間も走れば、すぐに海がある」
鯉太郎:「もしかして、海釣り?」
釣り姉:「そうさ。日本の都市は海際に多いし、道具はどうしても海釣り用が中心になるのさ」
鯉太郎:「そんなぁ……。でも、アユとか渓流釣り、ヘラブナ釣りだってあるじゃん」
釣り姉:「そうだけど、ブームでも起きない限り、川小物用は増えないねぇ」
鯉太郎:「じゃあ、どうすればいいの?」
釣り姉:「ネットショップを使うのが現実的だね」
鯉太郎:「ネットかぁ……。でも、せっかくだし店で選びたいんだよ」
釣り姉:「気持ちはわかるよ。けど、川物の棚なんて、今や片隅さ」
鯉太郎:「それで、なんとか種類の多い、海釣り用のハリを流用したいんだけど、どうかな?」
釣り姉:「いいところに気づいたね。本質的には同じだから使える場合もある」
鯉太郎:「ほんと? じゃあ早速見に行こう!」
釣り姉:「が、ちょっと待ちな。海用は大きすぎるんだ」
鯉太郎:「え? 同じ号数でも?」
釣り姉:「そう。チヌバリ3号と金袖3号じゃ、全然大きさが違う」
鯉太郎:「そんな違うんだ……」
釣り姉:「でも、淡水用を探せば使えるサイズもあるかもしれない」
鯉太郎:「なら、まだ希望あるじゃん!」
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| ・家にあったフラット用のストレートフック#2/0と比較 |
流用できる鈎は限られる
釣り姉:「例えば、ワカサギ用のハリなんか使えることもある」
鯉太郎:「……それがさ、仕掛け付きしか売ってなかったんだよ」
釣り姉:「うーん、残念。でも、まだ希望はあるよ」
鯉太郎:「え? どんな?」
釣り姉:「渓流釣りコーナーを見てみた?」
鯉太郎:「見たよ。でもヤマメバリって、結構大きくて諦めたんだ」
釣り姉:「売り場はあるんだね? なら、ゼロ釣法用のハリがあるかも」
鯉太郎:「ゼロ釣法?」
釣り姉:「その釣り方の話は置いといて、ほら、これを見てごらん」
鯉太郎:「なんか、形が変わってるね」
釣り姉:「これが、さっき話に出たキツネバリっていうんだ。細長くて、狐の顔みたいだろ?」
鯉太郎:「あ、たしかに!」
釣り姉:「その中でも、特に細いやつを秋田狐っていうんだよ」
鯉太郎:「それが秋田狐……。なんか名前がいいね」
釣り姉:「それに見た目も悪くないだろ?」
鯉太郎:「うん、なんか魚が吸い込みやすい形してる。それで使いやすいの?」
釣り姉:「ところが、ふところ(ゲイプ)が狭いから、練り餌は少し付けにくいかなぁ」
鯉太郎:「なるほど、広いじゃあ袖のほうが無難なのかぁ」
釣り姉:「そうだね。この釣りは米粒の半分のサイズの練り餌を針先に付ける釣りだからね。扱いやすさは大切だと思う」
フライ用フックというてもある
鯉太郎:「ほかに、なんか良いのないのかなぁ?
釣り姉:「そうだね、フライフックを試すという手もあるよ?」
鯉太郎:「フライって、あの毛ばりの?」
釣り姉:「そう。形もいろいろあるし、#18とか20ならちょうどいい」
鯉太郎:「けど、あの売り場には完成済みのドライフライしかなかったよ」
釣り姉:「アハハ、残念だねぇ。アイが付いてるから管付きとして使えるし、フィンガーノットでも結べんだけどなぁ……」
鯉太郎:「淡水の釣りそのものが、管理釣り場以外道具が少ないような気がする……」
釣り姉:「まぁまぁ。それが現実だから、無ければ諦めてネットで探すしかないね?」
鯉太郎:「やっぱりそうなるのか……」
釣り姉:「それでも、自分の仕掛けを組めるのは楽しいだろ?」
鯉太郎:「うん、それは間違いない!」
バーブ(返し)の話
釣り姉:「ところで、鯉太郎? 返しはどうしてるんだい?」
鯉太郎:「うーん、最初はバーブレスにしたけど、バラしが多くてさ。今は返しを潰してハーフバーブ」
釣り姉:「うん、それが一番いいね」
鯉太郎:「やっぱり?」
釣り姉:「返しあり(バーブド)だとリリースが大変だし、バーブレスだと外れやすい」
鯉太郎:「でも、潰すの、けっこう面倒なんだよね」
釣り姉:「それは仕方がないね。一本ずつフォーセップで潰してたら、時間がかかるものさ」
鯉太郎:「でも最近、5.3mの軟調竿に変えてから、バラしが減ったんだ」
釣り姉:「へぇ、なら卒業も近いかもね」
鯉太郎:「バーブレスでも大丈夫かな」
釣り姉:「十分いけるさ。道具も腕も整ってるだろ?」
鯉太郎:「へへ、そう言われると嬉しいね」
釣り姉:「じゃあ、次は完全バーブレスで挑戦だね」
まとめ
川での小物釣りを楽しんでいると、意外と悩むのが「ハリ選び」ではないでしょうか。
フィンガーノットなどの結び方を覚えると、ハリスの太さや長さを自分好みに調整できるようになり、仕掛けづくりの自由度がぐっと広がります。
ところが、いざ釣具店へ行ってみると、目当てのハリがあまり置かれていない……そんな経験はありませんか?
多くの店舗で小物釣りの売り場に並んでいるのは、「金袖」や「袖」、そして「ハエスレ」などの定番が中心で、種類は思ったよりも限られています。特に地域によっては、海釣り用品が棚の大半を占めており、淡水用は片隅に追いやられていることもあります。川釣りをメインにしている人にとっては、少し物足りないラインナップになっていることもしばしばです。
残念ながら、お近くの店舗で見つからない場合は、素直にネットショップを利用するのがおすすめです。たしかに、さまざまな釣法から流用はできますが、直接魚と触れ合う部分ですので、自分のスタイルに合う一本を妥協なく選ぶことも、釣りの楽しみのひとつと言えるでしょう。
自分で選んだハリにハリス、そしてウキに道糸。これらを組み合わせて釣り上げる一匹は、何物にも代えがたいものがあります。夏から秋にかけては、よほどのことがなければボウズになることも少ない釣りです。自作の仕掛けにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。



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