都市部だからこそ、エサに気を付けたい
川辺に立つと、キラキラ光る水面を泳ぐ小魚たちの姿に目を奪われませんか?
特にオイカワ、ウグイ、カワムツは、身近な川でも気軽に出会える人気のターゲット。
小さな体ながらも元気いっぱいに泳ぎ、ハリに掛かったときの手応えは想像以上です。
そんな彼らを釣るには「餌選び」がちょっと重要。工夫で釣果が大きく変わるのです。
今回は、ストーリーでやさしく紹介したいと思います。
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朝の川辺は、まだ眠りから覚めきれていない。淡い靄が水面を覆い、静かなせせらぎだけが響いている。
ポケットから取り出したソーセージを小さくちぎり、針に刺した。安上がりで手軽、これで釣れるのだから儲けものだ。
だが、今日は待てど暮らせど、ウキは沈み込まない。わずかに揺れるだけで、魚が触った気配すらない。
「……どうしてだ? 一週間前はこれで釣れていただろう?」
口から漏れた声は、自嘲にも似ていた。
仕方がないので、エサを付け直す。
「もしかすると、指先でちぎっただけでは大きすぎるのかもしれない」
ソーセージをタックルボックスの上に置き直し、ピンオンリールの先に取り付けたハサミで試しに一つだけ丁寧に賽の目にカット。仕掛けを寄せて、一粒つけて流してみる。
ポコン……ポコン……
と今までになかった反応を見せ、ゆるりと川を下っていく玉ウキ。
魚の評判は上々のようだ。