ウキ釣りのカギはやはりウキ
釣りの楽しさは、ただ魚を釣るだけではありません。ウキがピクリと動く瞬間、川面の小さな変化に気づく感覚――それを生み出すのが、ウキとオモリの絶妙なバランスです。
軽すぎても重すぎても、アタリは見逃してしまう。今日は、その微妙な調整について、ストーリーでわかりやすく解説します。
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水面は朝の光を鏡のように反射し、時おり流れに砕けて細かな光の粒を散らしていた。6時だというのに渡る風は蒸し暑く、歩くたびにアシがまとわりつき、イライラを募らせる。
釣れない。ウキがピクリとも動かない。
目ぼしいポイントをいくつか回ったが、じわじわと焦りが積もっていくばかりだ。
朝マズメを迎えてから、すでに一時間半は過ぎている。あちこちでオイカワのライズが上がり、魚が最も活発になる時間帯のはずだ。
しかし、ウキはただ川面を滑らかに流れ続けるだけで、一度たりとも揺れることも沈むこともない。
「今日はどうしたっていうんだ?」